なっきーの雨垂れ石を穿つブログ

アラ還お気楽主婦の日常

『変な家2』資料②闇をはぐくむ家

2020年11月6日

飯村達之さんへの取材記録

 

飯村さんはもともとは建築作業員だったが、今は特殊清掃作業の仕事についている。

彼は津原一家の自宅清掃をおこなった事があると筆者は知人から教えてもらっていた。

 

静岡市北部で、当時16歳の少年が家族を包丁で殺害するという事件が起きた。

被害者は津原少年の母、祖母、弟の3人。

母親は台所で、祖母は自室(1階和室)で、弟は台所の入口で息絶えていた。

 

彼は警察に対して、「イライラしていた」「将来に希望が持てなかった」「母と祖母の仲が悪くて家に居づらかった」と供述。

マスコミはあらゆる社会問題と関連づけて論じられる中、不思議な噂も流れていた。

『津原家の間取りに問題がある』


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この間取り図は飯村さんが取り出した。

筆者があらゆるサイトにアクセスして調べたが、見つけることができなかった間取り図。

元建築作業員だった飯村さんは、この家を、建てたのは『ヒクラハウス』という建築会社だと断言した。

『ヒクラハウス』は中部地方を中心に営業しており、大工の間では悪徳企業として有名だそうだ。

飯村さんいわく「こんな家に長年住んでりゃ、気がおかしくなっても仕方ない」

それくらい住みづらい家だと。

 

北側に面した水周りの臭気が、ドアのないリビングに入ってくる。

玄関の訪問者からリビングが丸見え。

2階には廊下がない為、奥の部屋に行くには手前の部屋を経由しなくてはいけない。

プライベートな空間というものが皆無だと。

 

狭い土地に必要以上にコストをカットして建てられた家。

これと同じ家が日本に100軒以上存在すると飯村さんは言う。

派手な広告と強引な営業で売りつけ、アフターサービスはなし。

 

ただ、昔からそうだったわけではなく、ヒクラがメディアを重視し始めたのにはある事件がきっかけだった。

1980年代の後半、ヒクラの社長に「若い頃に幼児虐待をしていた」という疑惑が持ち上がった。

たちまちヒクラの株価は急落。

その隙を付くように、当時、中部地方のライバルだった「ハウスメーカー美崎」がシェアを拡大した。

「ヒクラハウス」の現会長は緋倉正彦。

社長は緋倉明永。

 

筆者は再び、間取り図を眺めた。

その時、一つの疑問が浮かんだ。

3人はどの順番で殺されたのだろうか?

間取り図を見ながらイメージしてみふと、恐ろしい可能性が見えてきた。

祖母を殺したのは母親だったのではないか?

 

しかし、あくまで想像でしかない。

この「家」が育んだ闇は一つではなかったかもしれない。