6年前、空き家状態だった実家を売却した。
正しく言うと、実家を解体、土地を売却したのだ。
実家は父と母の二人暮らしだった。
12年前、父が他界。
私はひとりっ子なので、一人暮らしだった母の様子をみてくれる兄弟はいない。
身体があまり丈夫ではない母を一人でおいておくのが心配で、父が他界した翌年、家の近くのサ高住に呼び寄せた。
実家は遠方にあり、新幹線と電車を乗り継いで片道4時間。
空き家状態になった実家の様子を頻繁には見に行くことはできない。
ポストの中、庭の状態など気がかりだった。
最も心配になったことは、「もし、放火でもされて火事になったら…」
長年、ご近所さんと付き合いがあった。
特に母が一人暮らしになってからは、お隣さんがいつも気にかけてくれて、とてもありがたかった。
空き家を放置して、取り返しのできない事態になったら後悔してもしきれない。
空き家管理をしてくれる会社はないかとネットで検索した。
サービスも幾通りかあり、月1回、3,000円、家の外から見廻り、庭の掃除、ポストの中の整理をしてくれるコースを早速申し込んだ。
毎月、ポストの中に入っていた郵便と、画像付きの報告書が送られてきた。
母は3年半、サ高住で暮らし他界した。
私は相続の手続きなどをやりながら、今後、実家をどうするか空き家管理会社と相談した。
以前、伯母が「建物は壊して、駐車場にしてはどうか」と言ってたことがあったので、
見積もりを取った。
すると、採算が取れるのが常に満車状態(月極)で10年かかる。
やはり、解体して土地を売却た方がいいのだろうか。
(結果、駐車場にしなくて正解だった。駅周辺の再開発でマンションや住宅がもっと建設されるかと思いきや、今の時点では駐車場だらけになっている)
当時、消費税は8%だったが、そのうち10%になるのは予想できた。
なるべく早く売却しなければ。
多少の焦りはあったが、実家は最寄り駅から徒歩3分とアクセスが良く、必ず良い条件で売却できると確信していた。
最初に来た話は、土地を二分割して極小住宅を建てるハウスメーカーからだったが、断った。
ほどなくして、別のハウスメーカーから、あの周辺の土地を探している若夫婦がいて、是非、売って欲しいとのことだった。
売却価格は希望どおりであったし、決め手になったのは奥さまが妊娠中で、年内に出産予定と知ったからだ。
契約は、某銀行でスムーズに執り行われた。
不動産を売却すると、売却によって発生した利益に対して、譲渡所得税という税金が発生する。
譲渡所得税には特別控除があり、マイホームを譲渡した場合、3,000万円が特別控除額となる。
但し、この特例を受けるには適用要件が何項目もあり、すべての項目をクリアしなければ受けられないのだ。
私の場合、被相続人(母)が相続開始の直前までその家屋に住んでいたこと、
このたった一つの条件がクリアできなかった。
母はサ高住で暮らしていて、介護サービスを受けるため住民票を移していた。
理不尽だと思った。
高齢者が施設に入って、持ち家は空き家状態なんてザラにある。
現に、近所にもそんな空き家が何軒もある。
しかし、私が四の五の言っても直ぐに法が改正されるはずもなく、渋々、確定申告したのだけれど。
その後、平成31年度税制改正において、老人ホーム等に入所したような場合であっても、一定の要件に該当するのであれば、空き家特例の適用がうけられるようになった。
法改正が間にあってくれず、新卒の平均年収くらいの税金を納めたが、後悔はない。
次の世代にバトンを渡すことができた。
あの土地で、若いファミリーが幸せに暮らしてくれることを願っている。
昔、私の家族がそうだったように。
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by よくわかる!不動産売却 不動産売却の基礎知識を解説