第三章 記憶の中の間取り
2006年8月、柚希は家族で某県にある父の実家に泊まりに行った。
山の中腹を切り開いた、広い敷地にぽつんと建つ古民家。
そこには祖父(重治)、祖母(文乃)、伯父(公彦)、伯母(美咲)、いとこ(洋一)、6人が住んでいた。
柚希が記憶を辿って書いた間取り図がこれ
中央に長い廊下の通ったシンメトリーの家。
廊下の突き当たりには巨大な仏壇が置いてある。
いとこ(洋一)はその前で亡くなっていた。
仏壇から転落して亡くなったという診断だったが、小さな子どもが足をかけるような箇所もなく、それに加え、洋一自身が仏壇をとても怖がっていた。
不自然な点が多いのに、家族皆が事故と信じて疑わない様子だった。
洋一の母、美咲が「警察を呼んで現場検証をしてもらったほうがいいのでは」と提案したが、皆に反対された。
家族みんなが、何かを隠している。
柚希の当時の記憶をたどり、洋一が誰かによって殺されたと仮定すると、柚希の書いた間取り図には表向きにはわからない隠し部屋の存在が浮き彫りになってきた。
世間には知られてはいけない、この家にまつわる何かがある。
そして、ついに明かされる真実。
それは、柚希の母、嘉江の話によって知ることになる。
その4 第四章 縛られた家 へ続く