父は写真を撮る事が好きな人だった。
子どもたちを連れて、春休みや夏休みに帰省した時は張り切って撮ってくれた。
写真の現像は必ず2枚ずつ注文して、
1枚は自分用、もう1枚は私たちに渡してくれた。
撮影は外出先はもちろん、近所の公園でも実家の中でもしていた。
父が他界して8年。
母が他界して3年。
空き家になった実家を売却したのが2年前。
近所の公園は、私が子どもの頃からの遊び場だったし、子どもたちも砂場やブランコで遊んだ。
しかし、
駅周辺の開発が進み、線路沿いにあった公園は駐車場と数件の家に変わってしまった。
父が撮った写真に写っている実家も
近所の公園も今はもうない。
でも、
沢山残してくれた父の写真の中に、
桜が満開になった公園の写真がある。
母が笑い、子どもたちが遊具で遊んでいる。
私の故郷は、父の撮った写真の中にちゃんと存在している。